ネコ型配膳ロボットとは?導入効果や注目されている背景について解説

ネコ型配膳ロボットは配膳ロボットの1つで名称のとおり、ネコをモチーフとした配膳ロボットです。有名なネコ型配膳ロボットは「Bella Bot(ベラボット)」という機種で、大手飲食チェーンが大規模に導入したことで注目を集めています。
今回はBella Botをベースに、ネコ型配膳ロボットの概要や特徴、導入効果などについて解説します。
ネコ型配膳ロボットとは?
猫型配膳ロボットとは、ネコをモチーフにした配膳ロボットです。有名なものとしては、株式会社USENが提供している配膳ネコ型ロボット「Bella Bot」が挙げられます。
今回は代表的なネコ型配膳ロボットである「Bella Bot」をベースに、特徴や導入効果についてみていきます。
ネコ型配膳ロボットの特徴
ネコ型配膳ロボットの特徴として次の4つが挙げられます。
- 接客がキュート
- 運べる容量が大きい
- 音声とLEDによる取り違え防止
- その他の特徴
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.接客がキュート
ネコ型配膳ロボットの多くは、表情とかわいい声で「ご注文ありがとう」などの接客を行ってくれます。そのため、無機質ではない暖かいサービスを提供できます。
また、ネコの頭をなでると様々な表情でアクションしてくれるため、従来の対人対応では不可能であったお客さんとの触れ合いも実現可能です。
2.運べる容量が大きい
運べる容量が大きいこともネコ型配膳ロボットの特徴です。BellaBotの場合、トレーを4段搭載しており、最大40kgの積載量を誇ります。
また、配膳だけでなく、空いたお皿やグラスを厨房まで一気に運べるため、機能性も抜群です。ただし、運べる容量は配膳ロボットの機種によって異なるため、導入前に最大容量を比較しておくことが大切です。
3.音声とLEDによる取り違え防止
指定のテーブルまで運んだら、「料理をお持ちしました」と音声で案内するとともに、トレーのLEDライトが光ります。そのため、お客さんは自分がどの料理を取るのかひと目で把握できます。
また、取り違えた場合でもセンサーが反応して、音声で押してくれるため、取り違えの防止が可能です。
4.その他の特徴
その他の特徴としては以下が挙げられます。
- デザインカスタマイズによって従業員と同じ制服・エプロンを着用できる
- 操作が簡単に行える
- 通行可能幅は最短70cm
- バッテリー起動時間は12時間
デザインカスタマイズはオプションとなりますが、店舗のイメージと統一できるため、より親和性を高めたい場合にはおすすめです。
ネコ型配膳ロボットを導入する3つの効果
ネコ型配膳ロボットを導入する効果として次の3つが挙げられます。
- ピーク時でも安定したサービスの提供可能
- ロボットの併用
- 座席回転率を向上させられる
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.ピーク時でも安定したサービスの提供可能
Bella Botであれば、4段トレーで最大40kgの積載量を誇ります。そのため、1度に複数のトレーを利用して大量の料理を運ぶことが可能です。
これにより、ピーク時の人手不足や従業員の負担を軽減し、安定したサービスを提供できます。
2.ロボットの併用
導入費用はかかりますが、ロボットを併用することも可能です。BellaBotの場合、最大20台を同時に稼働させられます。
これにより、小規模な店舗から大規模な会場まで、幅広いシーンで活用できます。
3.座席回転率を向上させられる
従業員1人あたりが1日に運べる料理は200~300皿が限界です。また、1回に運ぶには限界があるため、何度も厨房とホールを行き来しなければなりません。
一方、BellaBotであれば1日約400皿の料理を運べます。また、1回に運ぶ量も人よりも多い他、往復する量を削減できるため、座席回転率の向上が見込めます。
配膳ロボットの導入店舗は拡大している
配膳ロボットの導入店舗は拡大しています。特に顕著なのがガストやバーミヤンなどを展開しているすかいらーくグループです。
すかいらーくグループは顧客満足度と従業員の働きやすさを目的に配膳ロボットの導入を決め、ネコ型配膳ロボット「BellaBot」の実証実験を2021年8月に開始し、同年11月には本格導入を開始しました。
2021年末時点では約150店舗で180台程度だった導入数は、2022年には約2,100店舗・導入台数も3,000台程度まで拡大しています。また、すかいらーくグループが大規模な配膳ロボット導入を実施したことで、配膳ロボットの世界市場が大幅に伸長したとTECH+が2023年2月に報じています。
TECH+によれば、配膳ロボットの2022年世界市場規模は370億円でした。これは2021年比で157.4%の伸長率です。
また、2030年には配膳ロボットの世界市場規模は605億円、2022年比で163.5%伸長するといわれています。人手不足が深刻化している飲食店業界では、今後導入店舗がさらに拡大していくでしょう。
配膳ロボットが注目されている背景
配膳ロボットが注目されている背景として次の3つが挙げられます。
- 飲食業界における人手不足の深刻化
- 新型コロナウイルスへの感染対策
- 人件費の高騰
それぞれ詳しくみていきましょう。
飲食業界における人手不足の深刻化
帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)」の飲食店人手不足割合は正社員が61.3%、非正社員は85.2%にも上ります。また、ある調査によれば、求人需要と供給に400万人のギャップが生じているそうです。
新型コロナウイルスの流行による外出自粛や時短営業によって、多くの飲食店が人員削減を余儀なくされ、学生をはじめとする若年層の多くが働き口を失いました。このような背景もあり、主要な働き手であった若年層が飲食業界から離れていることが考えられます。
また、少子高齢化によって、労働人口はさらに減少していることから、人材の確保は今後、さらに難しくなることも予想されます。
新型コロナウイルスへの感染対策
新型コロナウイルスの感染対策として、非接触・非対面が推奨されました。これにより、従業員の感染リスク軽減も飲食店経営の課題となっています。
配膳ロボットは配膳の自動化によって、接触回数を削減できます。そのため、新型コロナウイルスの感染対策としても配膳ロボットは有用です。
人件費の高騰
人件費が高騰しているのも配膳ロボットが注目されている理由の1つです。最低賃金の上昇、人手の需要と供給にギャップが生じている背景もあり、東京都では2012年に850円だった最低賃金は10年で26%上昇し、2021年には1,072円となっています。
配膳ロボットを導入すれば、業務効率化によって少ない人員でも店舗運営が可能となり、人件費の削減が可能です。そのため、人間に代わる労働力として配膳ロボットが注目されはじめました。
そもそも配膳ロボットとは?
配膳ロボットとは、センサー技術やAIなどの先端技術によって、自動で配膳してくれるロボットのことです。自立走行が可能で、人や物といった障害物を回避しながら、指定された席まで料理や備品などを運んでくれるため、配膳の自動化を図れます。
また、空いたお皿を厨房まで運ぶ下げ膳や、来店したお客さんを空いた席まで誘導するなど、配膳以外の業務も自動化が可能です。ただし、アームなどは取り付けられていないため、料理をテーブルに移し替えるなどの作業は人の手が必要となります。
したがって、配膳に関わる作業をすべて自動化できるというわけではありません。
配膳ロボットを導入する4つのメリット
配膳ロボットを導入するメリットとして次の4つが挙げられます。
- コストの削減
- 利益の拡大
- 人的リソースの有効活用
- 感染リスクの軽減
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.コストの削減
配膳ロボットによって配膳などを自動化すれば、少ない人員でも店舗運営できるようになります。また、配膳ロボットは休憩時間を確保する必要がないため、営業時間ずっと稼働させられます。
これにより、シフトで必要な人員数の削減が可能なため、人件費の削減が可能です。また、確保しなければならない人員数が減れば、シフト依頼やシフト調整の手間もなくなるため、これらにかかっていた時間的なコストも削減できます。
2.人的リソースの有効活用
これまでは、配膳・下げ膳や席の誘導などにも人員を割かなければなりませんでした。しかし、配膳ロボットによってこれらの業務を自動化できれば、調理や接客など、自動化ができない業務に人員を集中させられます。
これにより、人的リソースの有効活用が可能となり、スムーズに顧客対応や料理の提供が可能です。
2.利益の拡大
配膳・下げ膳の自動化やそれに伴う人的リソースの有効活用によって、料理提供までの時間や清掃時間を短縮できれば、席の回転率を向上させられます。また、自動配膳ロボットが配膳することで、お客さんは店員の負担を気にしなくてすむため、気軽に追加オーダーしやすくなり、客単価の上昇も期待できます。
回転率向上による客数の向上、追加オーダーによる客単価の上昇、自動化によるコスト削減が実現できれば、利益の拡大も見込めます。
4.感染リスクの軽減
新型コロナウイルスの感染リスクを軽減できるのも、配膳ロボットのメリットです。感染対策のために、入店時のアルコール消毒や体温測定、パーテーションによる飛沫防止などを行っているものの、お客さんが食事をする際はマスクを外さなければなりません。
そのため、どれだけ感染対策をしていても、実際のお客さんと接する従業員は感染リスクが高い状態でした。配膳ロボットが導入されれば、配膳・下げ膳を自動化できるため、お客さんと接する機会を削減して感染リスクを軽減できます。
配膳ロボットの価格
配膳ロボットの導入価格は機種によって違いがあるものの、おおよそ250万円~360万円程度です。ただ、レンタル期間3年間の縛りで毎月10万円程度を支払いながら、360万円となるケースもあれば、250万円を分割払いで購入するケースもあり、支払い方法は様々です。
ただし、本体価格だけでなく初期費用や保守費用などがかかる他、機種によって機能が大きく異なります。そのため、しっかりと比較・検討し、費用対効果が高く、自社と相性が良い機種はなにか見極めることが大切です。
配膳ロボットの導入時に活用できる代表的な補助金3選
配膳ロボットの導入時に活用できる代表的な補助金として次の3つが挙げられます。
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスに対応する中小企業を対象とした補助金です。新型コロナウイルスによって売上が減少し、新分野展開や事業・業種転換、事業再編成、業態転換に取り組む事業内容に対して補助されます。
中小企業の場合は対象経費の2/3、中堅企業の場合は対象経費の1/2が補助され、上限は100万〜8,000万円です。ただ、事業再構築補助金は毎年、制度や補助内容が変更されます。
そのため、補助対象や内容をしっかりと確認しておくことが大切です。
2.小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、従業員が20名以下(商業・サービス業の事業者は5名以下)の小規模な事業者が活用できる補助金です。
販路開拓や生産性の向上を目的としている場合に活用でき、働き方改革などが目的の「一般型」や、コロナ関連内容を目的とした場合に利用できる型があります。
対象経費の2/3か1/2が補助され、上限は50万円もしくは、100万円です。
3.ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業が経営革新に向けて、設備投資などにかかる費用を支援してくれる補助金です。
新しい生産方式や提供方式の場合に利用でき、対象経費は1/2か2/3が補助され、上限は750万~1,250万円となっています。
まとめ
配膳ロボットと聞くと、どうしても無機質なイメージがあります。しかし、ネコ型配膳ロボットであれば、可愛らしい声と表情により、キュートな接客が可能です。
また、タッチセンサーが内蔵されているため、お客さんが撫でれば可愛らしいアクションを起こすコンテンツも実装されています。配膳ロボットの導入によって、無機質なイメージを与えかねないか心配な方は、ネコ型配膳ロボットの導入がおすすめです。
当社でも配膳ロボットを取り扱っています。
配膳ロボットの導入前に必要な各種調査はもちろん、配膳ロボットの初期設定や操作方法のトレーニングなど、充実したサポートで導入を支援しておりますので、気になる方はお気軽にご相談ください。