業務用無線機とは?
業務に合わせて無線機を選ぶ
「業務用無線」と言っても、「業務」の内容はさまざま。
うちの会社に合う無線機ってどれ?うちの現場で使ってるのは何の無線機?そんな風に思われたことはありませんか。
わたしたちは1987年の創業以来、警備会社、倉庫、工場、居酒屋、レストラン、大型店舗、建設現場、ホテル、アミューズメントパークなどたくさんの現場に無線機をご提案してきました。その豊富な経験をもとに、お客様の「現場」にぴったりな業務用無線機をご提案します。
業務用無線機とは?
ビジネスのための情報伝達の手段として使う無線通信を広く「業務用無線」と呼んでいます。
その業務用に使う無線には「一般業務用無線」「簡易無線」「MCA無線機」「航空無線」「防災無線」など、用途によって分類されています。
用途を問わずに使用できる無線には、「特定小電力無線」「デジタル簡易無線(登録局)」などがあり、レジャーや個人的な趣味・研究などで使う「アマチュア無線」は、ビジネスなどの業務に使用することはできません。
業務用無線機の中で一般的に企業や団体で使われているのが「簡易無線」「MCA無線機」「IP無線機」など。
「特定小電力無線(トランシーバー)」も、データ伝送を含めて業務で利用されることがほとんどです。
ここでは、業務用無線機として主に使われている「簡易無線(免許局・登録局)」「特定小電力無線(トランシーバー)」それぞれの特長の違いなどを説明・紹介していきます。
※2024/9/3追記
MCAアドバンスは2027年3月31日、デジタルMCAサービスは2029年5月31日にサービスを終了することが決定しており、現在新規契約の受付は行っておりません。
業務用無線機の種類
業務用無線機を最大限活用するためには、お使いの環境に最適な機種を選ぶことが何よりも重要です。
ここでは、一般的に業務用として使われている「免許局」「登録局」「特定小電力トランシーバー」「同時通話型トランシーバー」それぞれの機種の特長や機能、手続き方法などの違いをご紹介します。機種選びの際の参考にしてみてください。
迷われた場合はわたしたちプロにご相談ください。豊富な経験からお客様の現場に最適な機種をご提案いたします。
免許局とは?
免許局は、主に法人や組織、団体が業務に利用することを目的とした無線機です。
5Wの高出力機種が主となり、離れた場所や、階を隔てた場所間での通信に向いています。2023年6月1日の総務省発表により、チャンネル数は65chから75chに増波しました。
混信に強く、無線機を使用する団体が多い大規模施設など、混信しやすい場所で重宝されています。
利用する個人が資格を取得する必要はありませんが、無線機1台1台に免許が必要となります。免許された団体に所属している人しか使用できないため、レンタルでのご利用はできません。また、他人に貸すことも違法です。
e-無線では免許取得の手続きを最後までお手伝いします。
登録局とは?
登録局のご利用には「登録申請」という手続きが必要ですが、免許局が免許された団体の所属者しか使用できないのに対し、登録局は登録者以外の方も使用可能な無線機です。そのため、レンタルでのご利用も可能です。業務以外にも個人がレジャーで使うこともできます。
免許局に次ぐハイパワー機種で、出力は1W~5Wです。 2023年6月1日の総務省発表により、チャンネル数は30chから82chへ大幅に増波しました。混信しにくい場所でのご利用で、なるべく費用を抑えたい、という方に重宝されています。
登録局ご利用の際は登録申請と開設届の提出が必要です。e-無線では登録申請、開設届どちらもお手伝いいたします。
特定小電力トランシーバーとは?
特定小電力トランシーバーは、無線機としては最も安価でボディーも小型のものが多くあります。単三電池1本で使えるなどの手軽さも人気の秘密。
個人の資格取得や、免許、開設届などの手続きも必要ありません。レンタルも可能です。 基本的には異なるメーカー同士でも通信ができますが、チャンネルが合ってしまうと通信できてしまうことにもなるので、商業施設などお店の多い場所では混信しやすいことも。
近距離タイプのため、ワンフロアの飲食店や遮蔽物のない小規模店舗向きです。 居酒屋など飲食店の店員さんが良く使っているのがこちらのタイプ。
同時通話型トランシーバーとは?
特定小電力トランシーバーの中でも、電話と同じように「聞く」「話す」が同時にできるものを「同時通話型トランシーバー」といいます。
もちろん種類は「特定小電力トランシーバー」なので、個人の資格取得や免許・開設届などの手続きは必要ありません。特定小電力トランシーバーの中では多少高額な部類に入りますが、連絡を取りながら作業する必要がある場面で活躍するトランシーバーです。
主にクレーンの操縦など、重機のドライバーとオペレーターとの連絡用として工事現場などで重宝されています。
距離で選ぶ
当たり前ですが、無線機を利用するにあたって大切なのは「通信できること」、つまり電波が届くこと。そのため、通信距離は機種を選ぶ上でもっとも重要なポイントとも言えます。
そこで、e-無線がおすすめする業務用無線機を距離ごとにまとめました。参考にしてみてください。
通信距離 | 2~3km | 1~2km | ~500m |
---|---|---|---|
出力 | 5W | 1W~2.5W | 0.01W~0.1W |
機種 | SR 810UA (免許局) SR 820U (免許局) SR 730 (登録局) SR 740 (登録局) |
SR 510 (登録局) | SRS 220A (特定小電力トランシーバー) SR70A (特定小電力トランシーバー) SRFD1 (特定小電力トランシーバー) |
備考 | 見通しのよい場所:約5km 市街地:約1km~2km 郊外地:約2~3km ビル内:15~20フロア ※地下、吹き抜け無し |
見通しのよい場所:約3km 市街地:約0.5km〜1km 郊外地:約1~2km ビル内:10フロア ※地下、吹き抜け無し |
見通しのよい場所:300~500m 市街地:約100m 郊外地:約200~300m |
ご利用シーンで選ぶ
1. ビル警備
- 階をまたいで通信する
- 全警備員に一斉連絡が必要
- 混信を避けたい、他人に聞かれたくない
複数階をまたいで通信することが予想され、安全のために安定した通信が求められる警備業におすすめの無線機は免許局です。
ただし、同じ警備でも、片側通行の交通整理程度の距離であれば特定小電力トランシーバーでも通信できる場合も多くあります。
2. 倉庫・工場
- ワンフロアだがパーテーションや壁がある
- ラインと事務所間で連絡をとりたい
- 大型機械や遮蔽物がある
階をまたがないワンフロアの倉庫や工場でも、通信距離は長めになることが多く、高出力機種が重宝されています。
特に冷凍保管をする倉庫では、冷凍庫の厚い壁が遮蔽物となるため免許局が多く使われています。
3. 建設・工事
- 階をまたいで通信する
- 屋内と屋外で通信する必要がある
- 山間部での通信に使用する
大きな音が発生する建設・工事現場では十分な音量を確保でき、防塵・防水性能に優れた無線機がおすすめです。
複数階にまたがる連絡や別棟との連絡、屋内と屋外でやり取りする場合に活躍するのは免許局です。
4. 学校・教育産業
- 緊急時の誘導や防災訓練に使う
- 校外学習時、離れた距離で情報共有に使用する
校庭の中のみや体育館の中のみなどの近距離であれば特定小電力トランシーバーで十分ですが、校舎内と校庭や別棟間で連絡、遠足時の別クラスと連絡、などの広い範囲での通信には簡易無線が最適です。
必要な時に不足分の台数をレンタルでも補える、登録局がおすすめです。
5. ホテル・ウェディング
- タイミングよくサービスを提供する必要がある
- 全館で連絡を取り合う
- お客様からの見た目も重要
一斉連絡が必要で、全館で通信を取る必要があるホテルやウェディング業界では、階を隔てた通信向けの高出力タイプ、登録局がおすすめです。
動きの邪魔にならず見た目もスマートな小型・軽量機種が人気です。
6. イベント・アミューズメント
- イベントごとに関わるスタッフ数が変わる
- 全館で連絡を取り合う
- その都度会場の規模が変わる
規模にもよりますが、高出力の簡易無線が活躍しています。スタッフ数が変わる場合はレンタル無線で台数を調整できる登録局が便利です。
映像制作や舞台運営ではタイミングをぴったり合わせる必要があるため、遅延の少ないものが選ばれやすいです。
7. 小売店
- 簡単に扱えるもの
- 接客の邪魔にならない小型・軽量なもの
ショップで一番多く使用されているのが特定小電力トランシーバーです。資格・免許不要で、申請も必要ありません。
広いホームセンターや2階建て店舗などで通信できないエリアが発生するときは中継器が活躍します。
8. 飲食店
- 簡単に扱えるもの
- お店の雰囲気に合わせてデザインを選びたい
居酒屋さんの店員さんが使用している大半は特定小電力トランシーバーです。手続き不要で誰でもすぐに使えるため、スタッフ増員時にも対応しやすいでしょう。
種類も豊富なので、お店の雰囲気に合わせて機種を選べるところも魅力です。
免許局と登録局の違い
業務用として使われる「簡易無線」には「免許局」と「登録局」があるということは前述の通りです。
通信距離や出力が似ているこの2つの無線機、いったいどこがどう違うの?という点をご説明します。
チャンネル数の違い
免許局のチャンネル数はデジタル65ch、アナログ35ch(アナログは2022年12月から使えなくなります)と合計で100ch使用できます。一方登録局で利用できるチャンネル数はデジタル30chです。近くに同じチャンネルを使っている人がいると混信の原因となるため、チャンネル数が多いことは混信に強い、と考えることができます。大きなイベントや無線機を使う団体が混在する大規模な商業施設などでは、登録局の30chだけでは十分な通信ができないこともあります。通信方式の違い
登録局はデジタル通信のみでの運用ですが、免許局はデジタル通信に加えてアナログ通信も利用できる機種があります。(デジタル専用機もあります) デジタル通信の長所はクリアな音声、混信しにくい、秘匿性の高い通信ができるところ。 一方、アナログ通信の長所は通信の遅延が少ないところ。 このため、映像制作や舞台運営、クレーン作業など、タイミングをぴったり合わせる必要がある現場では、遅延の少ないアナログ通信が好まれているケースもあります。 ただし、免許局のアナログ通信は2022年12月1日から法律により使えなくなりますのでご注意を。キャリアセンス機能の有無
混信防止の目的で登録局にのみ搭載を義務付けられている機能で、電波法で定められた規制措置です。 交信範囲内で同じチャンネルを使用した電波を受信している時は、ボタンを押しても電波が送信されません。 免許局に比べチャンネル数が少ない登録局ならではの混信防止措置です。 LEDランプが点滅しているときはこのキャリアセンス機能が働いているときです。 すぐに送信はできませんので、チャンネルを変えるか、点滅が終わってから送信するようにしてください。必要な手続きの違い
免許局
免許局の無線機を利用するためには、総務省総合通信局に「免許申請」を行う必要があります。(申請をしないで利用することは違法となります)
個人で資格を取る必要はありませんが、無線機1台1台に免許が必要となり、免許された法人などの団体に属する人同士の通信に利用が限られます。e-無線では免許申請を代行しています。ご安心してお任せください。→免許申請について
登録局
登録局の無線機を利用するためには、総務省総合通信局に「登録申請」を行う必要があります。
無線機1台のみを登録するのが「個別登録申請」、無線機2台以上をまとめて登録するのが「包括登録申請」です。
「包括登録」の場合はあわせて「開設届」の提出も必要となりますのでご注意ください。
また、無線機を追加した場合は追加した無線機について開設届を提出することになります。
e-無線では登録申請から開設届までを代行しています。ご安心してお任せください。→登録申請について
業務用無線機の選び方まとめ
ここまで、業務用として使われる無線機、「簡易無線」の「免許局」と「登録局」について、そして「特定小電力 トランシーバー」について、簡単ではありますがご説明してきました。最後に、それぞれの機種の特長を生かした選び方 をまとめましたので、参考にしてみてください。
免許局
- 階を隔てた通信や、広い場所で連絡を取る必要がある
- 混信するのを避けたい
- 通信の内容を他人に聞かれると困る
- ハイパワーで安定した通信を行いたい
- 利用目的は法人の業務利用のみ
登録局
- 階を隔てた通信や、ある程度広い場所で連絡を取る必要がある
- 簡単な手続きで利用したい
- 必要最低台数だけ購入し、利用人数が増えたときはレンタルで補いたい
- 個人がレジャーで利用したい
- なるべく費用を抑えたい
- 自治会、町会でのイベントや災害時の連絡用
特定小電力トランシーバー
- 小型店舗やワンフロアの飲食店での連絡に使いたい
- 手続き不要ですぐに使い始めたい
- 誰でも簡単に使えるものが良い
- 接客中でも目立たないよう小型、軽量の物がよい
- お店の雰囲気に合わせてデザインを選びたい
- 電話のように同時に通話できるトランシーバーを使いたい(SRFD1など)
当社では無料の通信テストを行っております。通信テストを行ったうえで安心してご利用頂ける通信環境をご提案致します。
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